天漂空録

彼らは閉じた世界で、もがき、足掻き、必死に生きる

2020-07-16から1日間の記事一覧

その参 「三の異端 ~闇の章~」

髪を風に揺らされながら、青年は木に凭れ掛かっている。 心地良さそうに眠っているその顔は、幼子の様に穏やかだ。 その青年の元に、一人の少女が駆け寄る。 少女の気配を察知し目が覚めたようで、青年は瞼を重そうに開いた。 「蘭」 青年が微睡みながら少女…